「ダレオド」

発行:Pilgrim/定価:3900円(+税)/64ページ/A4判変形/フルカラー/
アートディレクション:佐藤孝好/印刷・製本:山田写真製版所/


「誰も見ていないみたいに、踊って」

どこかの牧師が書いたそんな言葉を以前、アメリカのスーパーで見かけた。 その一文は心のどこかにすっと、静かに沈み、美しい景色となってずっと、わたしの中に存在しました。 夢中で踊る誰かの姿とともに、いつしか、「踊る」という動詞は、 わたしにとって、生き生きと生きることの、象徴になりました。

わたしは、ひかりを集めたい。

戦い争い傷つけ合うこと。不安や恐怖や絶望。 それらに抗う代わりに、わたしはひかりを粛々と集めたい。 わたしの、あなたの、彼らの、生きる日々にこぼれる、ひかり。 はかなく、強く、おだやかに、鋭く。 それらを余すところなく拾い、積み上げることは、わたしにとって、強い祈りのようなものです。歌が作れないから、歌の代わりに。踊るみたいに。

拾い集めたひかりの粒はやがて、わたしの手を遠く離れ、それぞれが呼応し合って、明るさを増してゆく。ひかりに包まれたひとびとは、抱き合って許し合い、恐れは消えてゆく。そこは、助け合い、分け合い、愛し合うひとびとの世界。そこからもう、焦点を離さない。そう、決めました。

ね、誰も見てないみたいに、踊って。

“Dance as if nobody is watching.”

I spotted those words, penned by a pastor somewhere, in an American supermarket. They wormed their way quietly into my heart, forming a beautiful scene that stayed with me. At some point, along with the sight of someone wholly immersed in dancing, for me the verb “to dance” became a symbol of living life to the fullest.

I want to collect light.

Battling, fighting, wounding each other. Uncertainty, fear, disappointment. I’d rather silently collect light than resist them all. The light that spills onto the days I, you, they, live. Ephemerally, powerfully, gently, sharply. Picking up every example of that light, adding it to the never-ending pile, is for me akin to saying a powerful prayer. Like song, because I can’t write songs. Like dancing.

Those particles of light I’ve scooped up eventually make their way far out of my hands, calling to each other to increase the brightness. People wreathed in light embrace each other, forgive each other, and fear disappears. This is a world of people helping each other, sharing with each other, loving each other. I’ve decided never to shift my focus from that.

So go ahead, dance like nobody’s watching.


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「新世界」

天地280mm×左右225mm/上製布貼/88P/
ISBN-978-4-904635-08-7/C0072

舞い踊るうつくしい桜の季節、私のぱんぱんに膨らんだおなかから新しい生命が生まれてきた。その小さい人は、これまでに見たどんな人間よりも鋭く強い目で、私達をずっと、まっすぐに、見ていた。射抜くような透明なその目は、何かの始まりを、知らせているように思った。ひとめ見ると同じように見える、でも、全く別の、何かを。

そして一年、彼は二本の脚で歩き始め、次の桜を待つころ、大きな地震がすべてを揺るがした。かなしくておそろしくて、こどもを抱えて私は大きな声で泣いた。世界がかなしみの灰色に塗りつぶされたように思った。

それでも毎日、私たちの細胞は以前よりも大きな音を立ててぷちぷちぷちぷちと分裂し続けた。ふくらみ、広がり、色を鮮やかにして、高らかに歌を歌うように踊り、やがて溶けて、ひとつになっていった。それはひとつの大きなまばゆく白い光のように思えた。

私は夢中で、新しい、圧倒的な、その光の存在を確かめる手がかりを、ひとつひとつ、写真におさめて行った。見逃さないように。壊さないように。既に知っていたと思うすべてのものごとに、新しく、名前をつけ直すように。生まれたままのほんとうの色に、戻していくように。

生きたい。とにかく生きたい。死ぬまで生きたい。新しい名前を持ったあらゆるものと、愛するものたちと一緒に生きたい。太陽に喜び、風に喜び、土に喜び、水に喜び、月に祈って、毎日生きたい。生きるっていうのは、つまり、そういう営みをえんえんと生き生きと力の限り続けていくことなのではないかと思う。

この、新しい、世界で。

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「IMMIGRANTS」

A4変形(270×230mm)/上製本・貼箱入/112ページ
ISBN-978-4-9907410-0-6 / C0072

2011年3月11日の東日本大震災、その後の原発事故は多くのひとびとの人生を大きく揺るがした。
写真家の中川正子もそれをきっかけに住み慣れた東京を離れ、知る人のひとりもいない岡山市に、縁あって家族と居を移す。
『IMMIGRANTS』は、同じような思いをもって岡山へ移り住んだ友人たちの暮らしの断片を紡いだ写真集。
見知らぬ土地で「淡々と確かに杭を打っていくよう」に信じた暮らしを築き、根を下ろしていく姿。
その希望と光を捉えた作品からは、岡山へ移り住んだ「移民」たちの物語に留まることなく、誰もの人生に重ねることができる普遍的なものになっている。


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